02|益子町の財政を客観的にみる
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まとめ
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益子町の財政を客観的にみるため、栃木県が令和2年度の県内市町の財政状況をまとめた資料を読み解きます。他の市町の状況との比較によって、わかってくることがあります。
県内の25市町の中での、益子町の財政指標ごとの順位は、次の通りでした。自主財源比率は24位、経常収支比率は6位、3ヶ年平均で見る実質公債比率は16位、将来負担比率は19位、財政力指数は21位です (図1) 。
くわしくは、続くページでみていきます。
図1 益子町が財政指標ごとに栃木県の全市町の中で占める順位 (令和2年度) 。出典: 栃木県総合政策部市町村課「令和3 (2021) 年度版 栃木県市町村財政の状況」6-15頁 (廣瀬写図)
https://www.pref.tochigi.lg.jp/a02/pref/shichouson/zaisei/documents/r3visual.pdf
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本編
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目次
1: 自主財源比率
2: 経常収支比率
3: 実質公債比率
4: 将来負担比率
5: 財政力指数
6: 財政比較分析表を読み解く
(以上は「栃木県市町村財政の状況」の目次順)
1: 自主財源比率
「自主財源」は、市町村がみずから得られる財源のことです。地方税、使用料・手数料、諸収入などが、その中に含まれます (図2) 。
令和2年度の栃木県では、すべての市町の財源のうち、自主財源が占める割合は、平均38.7%で、最高値は芳賀町の50.7%でした 。
益子町は、27.4%で、25市町中24位です。残る72.6%の収入は、国、県の基準や意思決定により得られ、これを依存財源といいます。
図2 自主財源比率の状況 (令和2年度) 。出典: 栃木県総合政策部市町村課同書、6、21-23頁 (右: 廣瀬写図)
2: 経常収支比率
通常得られる財源に占める、通常かかる人件費、扶助費、公債費などの支出の割合が、経常収支比率です。割合が低ければ、柔軟に使える余裕があることを示すとされます。
令和2年度の益子町の経常収支比率は87.6%で、県下6位です (図3) 。ただし、平成27年からの変化をみると、県平均は下回るもののおおむね割合は高くなっています (図4) 。
通常かかる支出は一定以上必要で、後でのべる財政力指数がまず大切と考えられます。
図3 経常収支比率の推移。出典: 益子町公表資料ほか
図4 経常収支比率の状況 (令和2年度) 。出典: 栃木県総合政策部市町村課同書、11、21-23頁 (右: 廣瀬写図)
3: 実質公債比率
地方公共団体財政健全化法に基づく指標の一つで、「地方公共団体の借入金 (地方債) の返済額 (公債) の大きさを、その地方公共団体の財政規模に対する割合で表したものです」。
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総務省ウェブサイト|地方公共団体の財政の健全化 https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/kenzenka/index2.html
実質公債比率の3ヶ年平均が18%以上の市町村は、起債 (借入) に当たり許可が必要となります。
栃木県では、平成30年度から令和2年度の平均が5.5%で、全国平均の5.7%を下回っています。益子町の実質公債比率はこれらより高く、6.5%あります (図5) 。
4: 将来負担比率
これも、地方公共団体財政健全化法に基づく指標の一つです。「地方公共団体の借入金 (地方債) など、現在抱えている負債の大きさを、その地方公共団体の財政規模に対する割合で表したものです」。
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総務省ウェブサイト|地方公共団体の財政の健全化 https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/kenzenka/index2.html
将来負担比率は、「将来払わなければならない借金÷標準財政規模」の計算から求められます。
令和2年度の益子町で、将来負担比率は38.9%あります。これは、県平均18.6%の2倍を超します。全国平均24.9%に対しては、約1.56倍に当たります (図6) 。
なお、県内では14の市町が「将来負担額なし」となっています。益子町の将来負担比率は、25市町中19位です。
5: 財政力指数
財政力指数は、地方公共団体の財政力の豊かさを示す指標です。値が大きいほど財源に余裕があるとされ、単年度の財政力指数が「1.000」以上の市町村には、その年度の普通交付税が公布されません。
令和2年度の益子町では、財政力指数は0.555と、県内の市町の平均 0.715 を下回り、25市町中21位でした。ただし、全国の市町の平均は0.51で、益子町はこれを上回ります (図7) 。
自主財源比率の高さは、財政力指数と大きく関係します。1で見たように、令和2年度の益子町で自主財源比率は27.4%、25市町中24位です。平成18年度は41.7%あり、平成30年度も40.8%ありましたが、令和元年度に38.6%と4割を切り、翌令和2年度までの1年間で1割強を減らしています。
6: 財政比較分析表を読み解く
ここまで見てきた指標に、住民一人当たり積立残高、標準財政規模 (通常収入される一般税源の規模) といった項目を足して作成された財政比較分析表 (図8) を読み解きます。
以下、上段に各項目の最高値を示した市町、中断に益子町が属する「類似団体」、下段に各項目の最低値を示した市町の表を並べました (図9) 。財政状況が良いほど色面が大きく広がります。
図8 財政比較分析表は、県内市町の平均値を基準に、項目ごとの評価を行うものです(益子町を例に)
各項目の最低値を示した市町。以上、図9 財政比較分析表 (令和2年度) より表を抜粋。出典: 栃木県総合政策部市町村課同書、21-23頁 ( 廣瀬写図)
益子町と項目ごとの最高値を示した4市町、最低値を示した5市町の表をそれぞれ重ねたものが図10です。項目ごとの最高値を示した市町と比べると益子町の色面は小さく、最低値を示した市町もそれぞれ益子町より大きな財政力指数や自主財源比率、一人当たり積立残高を擁しています。
一人当たり積立残高には、積立基金であり、市町村の「貯金」に当たる財政調整基金が含まれます。平成20年度以降、益子町の財政調整基金が最も増やされたのは、平成26年度の12億3千755万6千円です。令和3年度の残高見込額は、8億6千483万円となっています*。
(文責、写図・作図 廣瀬俊介)
*出典: 令和3年度益子町予算説明書」4頁 http://www.town.mashiko.tochigi.jp/page/page000897.html
図10 財政比較分析表 (令和2年度) の各項目最高値、最低値を示した市町と益子町のチャートを重ねる。出典: 栃木県総合政策部市町村課同書、21-23頁 (廣瀬加工)
